3.17.2008

『建築の記憶ー写真と建築の近現代ー』展 庭園美術館


会場に入って、先ず、大きな熊本城のパネルに圧倒された!1874(M7)年、撮影:冨重利平。日本の写真家としては極々初期の人。現代の駅貼のポスターほど大きく引き延ばされても甘くならない確かなる写真だ。昔の長閑さも見苦しさも、余すところ無く見せる。絵空事でない熊本城が目の前にある!タイムマシンで見に行ったみたいに!ソバージュな力強さと優しさ。

この展覧会で、特に、興味深かったのは、1901年から企てられた『清国北京皇城写真帖』。(撮影:小川一眞、解説:伊東忠太)『北京皇城建築装飾』という双子のような大冊もあり、紫禁城の記録として最高の物だろう。写真の1枚のなかに、西洋服を着た東洋人青年(と見える)が折りたたみ椅子に腰掛けて、スケッチをしている後ろ姿があり、これらの本を作るための一人ではないか、と思った。石畳はふっくらとしていて、金属製コマ獅子(狛犬ならぬ)は陽光を跳ね返している。当時、未だ、清の宮廷が、どうにかこうにか、存続していたところで、このように、密度の濃い撮影や研究が(しかも、日本発の!)入り込めたことにも、想いを遊ばせる。

青森の新しい美術館の写真も美しかった。東北の雪の輝きと重たさ。

ポスターに使われている、みごとにデコラティヴな大階段(東宮御所、1909年)の本写真にはー展示期間が過ぎていた(2月12日まで)のでー対面出来なかった(>_<)