7.12.2010

夕ぐれの時はよい時

『時の旅人』(アリソン・アトリー 作/松野正子 訳)p.19

階段の壁には、ウイリアム・モリスのデザインの壁紙がはってありました。春の緑の森のような木の葉の模様で、私はよくこの階段にすわって、ロンドンを遠くはなれた森の中で小鳥のさえずりにかこまれているつもりになったものでした。その日も、夕方、私は両ひざをおりまげて階段にすわって、街灯に灯が入るのを待っていました。青みがかった夕闇があたりをつつんでいました。点灯夫が口笛を吹きながらやってくると、家の階段にかすかな明かりが射しこみました。家のすぐそばに街灯が一本あって、その街灯の光が玄関のドアの上の扇形の明かり窓から射しこむので、家ではガス灯を使わないですみました。家には電灯がなく、家主は古い家に電線をひくのをこばんでいたので、家のガス灯をつけるには、いちいち料金入れの穴にペニー銅貨を入れてガスをださなくてはならないのでした。」

アリソン・アトリーという人は、1884生まれだそうで、物語の主人公が、作者を反映していると想像すると、19世紀末ごろのロンドンでしょうか、「いちいち料金入れの穴(ガス)」ということに、驚きました。
少女ペネロピーは、夕暮れ時の階段で、よく夢のなかの人を見、現実の生活と別の生活をする-という物語です。
子どもから大人になる時のあわいに、たち現れる夢の時間。
子どもも大人も、うかうか痩せた時間を過ごしたくないと思うけれど。。。

堀口大学の優しい詩があります。



   <夕ぐれの時はよい時>

  夕ぐれの時はよい時、
  かぎりなくやさしいひと時。

  それは季節にかかはらぬ、
  冬なれば暖炉のかたはら、
  夏なれば大樹の木かげ、
  それはいつも神秘に満ち、
  それはいつも人の心を誘ふ、
  それは人の心が、
  ときに、しばしば、
  静寂を愛することを、
  しつてゐるもののやうに、
  小声にささやき、小声にかたる……

  夕ぐれの時はよい時、
  かぎりなくやさしいひと時。

  若さににほふ人々の為めには、
  それは愛撫に満ちたひと時、
  それはやさしさに溢れたひと時、
  それは希望でいつぱいなひと時、
  また青春の夢遠く
  失ひはてた人々の為めには、
  それはやさしい思ひ出のひと時、
  それは過ぎ去つた夢の酩酊、
  それは今日の心には痛いけれど
  しかも全く忘れかねた
  その上(かみ)の日のなつかしい移り香

  夕ぐれの時はよい時、
  かぎりなくやさしいひと時。

  夕ぐれのこの憂鬱は何所(どこ)から来るのだらうか?
  だれもそれを知らぬ?
  (おお! だれが何を知つてゐるものか?)
  それは夜とともに密度を増し、
  人をより強い夢幻へみちびく……

  夕ぐれの時はよい時、
  かぎりなくやさしいひと時。

  夕ぐれ時、
  自然は人に安息をすすめるやうだ。
  風は落ち、
  ものの響は絶え、
  人は花の呼吸をきき得るやうな気がする、
  今まで風にゆられてゐた草の葉も
  たちまちに静まりかへり、
  小鳥は翼の間に頭(こうべ)をうづめる……

  夕ぐれの時はよい時、
  かぎりなくやさしいひと時。

7.04.2010

バクラヴァ baklava


     自己流レシピ(^_^;
(^_^;

パートフィロ 200〜250g
クルミ  100g
シナモン 小さじ1
ナツメグ 小さじ0.3
グラニュー糖 80〜100g
無塩バター 150〜200g

蜂蜜 半カップ
砂糖 半カップ
水  1カップ

ピスタチオ 100g

1
パートフィロを手に入れる。または、
パイシートを更に薄く伸ばして使う。

2
バターを電子レンジに掛け、液状にしておく。
クルミ、砂糖、シナモン、ナツメグを、フードプロセッサーに、併せ入れ、粗微塵に(くるみを)砕いておく。

3
パートフィロを容器の大きさに合わせて(重ねたまま)包丁で切る。
容器の底に刷毛でバターを丁寧に塗り、フィロ1枚を敷き、またバターをきれいに刷毛で薄く、満遍なく塗る。
連続8枚同じように敷き詰める。

パイ生地を使う場合は、(フィロ8枚重ねのところを)4枚重ねくらいで、作業を進めて行く。

4
8枚のフィロのあとに、くるみとシナモン、ナツメグ、砂糖を混ぜ合わせたものを敷き詰め、また同じようにフィロを1枚ずつバターを塗って8枚敷き詰めていく。

5
これを4〜5回繰り返して、容器いっぱいになったら、
冷蔵庫で、バター要素が固まるまで冷やす。


食べやすい大きさ(菱形、正方形、三角など)に切っていく。
包丁で垂直に切り、底までは切り込まないようにする。


160〜170度のオーブンで60〜70分じっくり焼く。焼き上がりが近づいたら、
シロップを用意する。
はちみつ半カップ、砂糖半カップ、水1カップを小鍋に入れ、少し煮立ておく。


焼き上がったバクラヴァの上から(粗熱をほんの少し冷ました)シロップを、
静かに流し、たっぷり充分、染みこませる。


容器に入れたまましばらく置いて(冷まして)
包丁で、さらに底まで深く切り込み、ひとつひとつ切り分ける。

室温、密封で1週間ほど保存できる。

10
ピスタチオ(殻付きで100g/殻を剥いて50g程度)を
包丁で粗く刻み、
お皿に盛りつけたバクラヴァの上に飾る
ピスタチオの代わりに松の実等も良い。

7.01.2010

富士山型 その2

山頂はミルクゼリー、裾はコーヒーゼリー







左はメープルシロップ、右は黒蜜を掛けてみました